前回(〜独学で行政書士〜 第17回その他の訴訟と教示 )は、抗告訴訟以外の訴訟類型と教示について解説しました。
覚えるポイントは多くないので、さらっと読めたのではないでしょうか。
今回は、仮の救済について解説します。
行政庁の処分や裁決を待っていては間に合わないような場合に取ることができる手段です。
今回で行政事件訴訟法は最終回となりますので、ラストスパートです。

早稲田大卒⇨1部上場企業の営業マン。資格試験の勉強で得た役立つ知識と勉強法、思考法を発信しています。週3日更新で雑記ブログを運営中。(資格取得、金融関連、旅行関連) 取得済【行政書士、ビジ法2級、FP2級、AFP、ITパス】勉強中【宅建、簿記2級】
執行停止
執行停止とは、原告の権利を守るために、処分の効力・処分の執行・手続きの続行の全部または一部を停止することです。
これは取消訴訟が提起された場合になされるもので、以下の要件を満たす必要があります。
- 取消訴訟が提起されている
- 重大な損害を避けるために緊急の必要があること
- 原告から執行停止の申し立てがあること
執行停止の手続上、当事者の意見は必ず聞かなければなりません。
なお、執行停止が決定された場合、内閣総理大臣は異議を述べることができます。
異議を述べるには理由が必要ですが、その理由の当否について裁判所が審査することはできません。
執行停止が決定していても、内閣総理大臣が異議を述べれば、裁判所はその決定を必ず取り消さなければならないということです。
これは行政不服審査法では認められず、行政事件訴訟法のみとなります。
仮の義務付け&仮の差止め
仮の義務付けとは、義務付け訴訟の判決が待てない場合、行政庁に仮で処分や裁決を求めるものをいいます。
仮の差止めとは、差止め訴訟の判決が待てない場合、行政庁に仮で処分や裁決をしないよう求めるものをいいます。
これらを行うには、以下の要件を満たす必要があります。
- 義務付けor差止め訴訟の提起
- 償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること
- 原告から申し立てがあること
- 本案につき理由があるとみえること
この要件は記述式でも問われる可能性がありますので、覚えておきましょう。
また、執行停止との比較でよく問われるのが、2番目の要件です。
執行停止では「重大な損害を避けるために緊急の必要があること」ですが、仮の義務付け&仮の差止めでは「償うことのできない損害を避けるために緊急の必要があること」となっています。
重大な損害なのか償うことのできない損害なのかは混乱しないように整理しておきましょう。
まとめ
これで行政事件訴訟法は最後になります。
今回取り上げた仮の救済の要件はよく出題されます。
似たような文言でひっかけてくる問題をよく目にしましたので、対策しておく価値はあると思います。
次回は、国家賠償法と損失補償について取り上げたいと思います。
では、また!