前回(第18回 公的医療保険制度の概要)は、各種健康保険の加入条件や保険料などを取り上げましたが、今回は、給付の内容について解説したいと思います。
会社員の方は給料から天引きされているので、保険料を支払っている実感はないかもしれませんが、実はかなりの金額を毎月支払っているのです。
しかし、給付の内容に目を向けて見ると、手厚く幅広い分野がカバーれているので、コスパはなかなかにいいと言えます。
自営業の方は、医療費の補助がメインかと思いますが、昨今のコロナ事情もあり、傷病手当金が支給されているケースも散見されます。
それでは、実際の給付内容を見ていきましょう!

早稲田大卒⇨1部上場企業の営業マン。資格試験の勉強で得た役立つ知識と勉強法、思考法を発信しています。週3日更新で雑記ブログを運営中。(資格取得、金融関連、旅行関連) 取得済【行政書士、ビジ法2級、FP2級、AFP、ITパス】勉強中【宅建、簿記2級】
健康保険の給付内容
健康保険の給付は10種類以上にのぼります。
全てを解説すると、教科書みたい堅苦しい文言の羅列になってしまいますので、
知っておくと便利な給付をピックアップして解説したいと思います。
療養の給付
怪我や病気で医療機関や薬局などを利用する場合が該当します。
直接治療をしてもらえることに加えて、費用については一定割合を支払えばOKというものです。
原則3割負担となりますが、70歳以上や小学校入学前の子供などは2割の負担でOKです。
高額療養費
医療費については、原則かかった費用の3割が負担となりますが、治療費が1000万円だとすると300万円も負担しなければなりません。
こういった高額の出費に備えるために高額療養費という給付が設定されています。
所得に応じて自己負担の上限額が定められており、その金額以上は支払う必要がありません。
例えば、標準報酬月額30万円の方を見てみましょう。
医療費の総額が1000万円かかったとします。
原則3割負担ですので、300万円を支払う必要がありますが、自己負担額は上図の通り、80,100円+(1,000万円ー267,000円)×1%ですから、177,430円となります。
300万円は支払えなくても、約18万円ならなんとかなるのではないでしょうか。
このようにかなり手厚い補償が用意されていますので、医療費についてそこまで心配する必要はありません。
傷病手当金
傷病手当金とは、怪我や病気などで仕事を休んでいる期間の収入を補償してくれる制度です。
休み始めて4日目から、標準報酬日額の3分の2が、最大1年6ヶ月間支給されます。
万が一に備えて、私的な保険に加入する事例を耳にしますが、大抵の場合は必要ないように思います。
高額療養費と傷病手当金では足りない場合にのみ、必要最低限額で加入するのが経済的でしょう。
出産手当金
出産のために仕事を休んだものの、事業主から十分に報酬がもらない場合に、収入を補償してくれる制度です。
支給額は標準報酬日額の3分の2で、期間は出産前42日から出産後56日までが対象です。
予定日が遅れた場合には、遅れた日数分が加算されて支給されます。
国民健康保険の給付内容
療養の給付
健康保険と同様です。
高額療養費
健康保険と同様です。
傷病手当金
原則、支給されません。
ただし、コロナに感染または疑いがあるとして、休業を余儀なくされた自営業の方を対象に、傷病手当金を支給促す旨が厚生労働省から発表されています。
該当する可能性のある方は、自治体のHPで検索してみてください。
出産手当金
国民健康保険では支給されません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は給付の内容について簡単に解説しました。
会社員に代表される健康保険加入者はかなり手厚い補償が用意されています。
高額な治療費がかかって入院して働けないという場合でもそこまで心配する必要はありません。
国民健康保険の加入者の場合、傷病手当金や出産手当金の支給がありませんので、万が一に備えておく必要があるかもしれません。
ただ、傷病手当金に関しては、コロナの影響で支給され始めていますので、対象の方は要チェックです。
次回は、介護保険について解説したいと思います。
では、また!