前回、資産運用の第一歩は貯蓄だとお伝えしました。
最低限の貯蓄は精神的な安定に不可欠です。
ただ、昨今の低金利では、貯蓄で資産を増やすのは現実的ではありません。
今回は貯蓄で眠っている資金の有効な活用法として、IPO投資をご紹介したいと思います。

早稲田大卒⇨1部上場企業の営業マン。週3日(水・土・日)更新のブログでは、資格試験の勉強で得た、社会生活で役立つ知識(法律や税金・資産運用など)や勉強法を発信しています。
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IPO投資とは
Wikipediaではこのように説明されています。
新規株式公開あるいは単に株式公開(Initial Public Offering)とは、自由な株式譲渡が制限され少数株主に限定されている株式を株式市場に上場して株式市場での売買を可能にすることをいう[6][7]。
要するにこれから上場するよ!という会社の株を、上場前に購入して、上場後に値上がりしたタイミングで売却し、利益を得る投資方法のを指します。
上場というのは、証券取引所で誰でも自由に会社の株を売買できる状態にする事です。
株式会社の設立は誰にでもできますが、会社を上場させるのは最難関とも言えます。
上場がどれほどすごい事なのか詳しく見ていきましょう。
上場は一定の基準を満たした企業のみに許されています。
中小企業庁によると日本には421万社の企業がありますが、
上場しているのは3,703社で、全体の0.08%という狭き門です。
上場すると、株式市場での取引が可能になり、会社として資金調達がしやすくなります。
未上場会社は、金融機関などから資金調達をしますが、もちろん、これは借金ですので返済義務が生じます。
一方、上場会社は株式市場から資金を調達でき、返済義務がありませんので、事業の拡大がしやすくなります。
IPO投資ではこうした有望企業が上場する前に株式を購入できます。
購入権は抽選によって決まりますので、全ての企業を購入できるわけではないという事には注意が必要です。
ただ、投資対象は上場に値する実力十分のエリート企業ですので、上場後は値上がりが期待できます。
2019年は86社が上場しましたが、上場後の初売りによる損益合計は1000万円を超えました。
メリット
利益が出やすい
前述の通りIPO投資では、通常の株式投資と比べて利益がでやすいのが特徴です。
公募価格(上場前の購入価格)が適正価格よりも値引きされているケースが多く、
公募価格で購入できれば、上場後の売却時に利益を出しやすいという事です。
参考までに2019年のIPO株で利益の大きかった銘柄を見てみましょう。
サイバーワークスという会社が公募価格4780円で売り出されましたが、初値はなんと18000円になりました。
最小購入単位が100株からですので、47万8000円で購入した株が、180万円になったという事です。
利益額にして132万円です。
これだけの利益を株式投資で出そうとすれば、相当のリスクを取らなければなりません。
IPO投資では、高確率で公募価格を上回る初値がつきますので、利益を出しやすい投資と言えます。
初心者でもかんたん
株式投資というと、企業分析をして財務諸表を読んでチャートを凝視するというイメージを持つ方もいらっしゃるかも知れません。
IPO投資では、こういった難しい分析は一切必要ありません。
上場まで漕ぎ着けたエリート企業たちですから、値上がりの可能性が高いのは紛れもない事実です。
ただ、全ての企業が値上がりするわけではありませんし、元本割れするリスクも考慮しなければなりません。
そこで利用したいのが、IPO株についてのまとめサイトです。
- 企業名
- 抽選日
- 必要資金
- 申込み可能な証券会社
- 初売りによる利益予想など
上場する企業の情報をわかりやすくまとめてくれていますので大変参考になります。
これらのサイトでの情報収集を基本としながらも、
気になる箇所や不明点については、当該企業のIR情報を参照するというスタンスをオススメします。
貯蓄を利用するのに最適
IPO投資では、株式の購入権を得るために抽選に参加する必要があります。
抽選時に、購入相当額の入金が必要になるケースがありますので、ここへ眠らせている貯蓄を投下します。
まとまった貯蓄をただ銀行に預けていてもほとんど増えませんが、IPO投資が成功すれば利益は何倍にも膨れ上がるからです。
なお、抽選に際して、費用は一切かかりませんので、ご安心ください。
抽選に外れれば、購入相当額は全額返金されます。
証券口座からの出金も数日間あれば手数料なしで対応できますので、
資金が必要になったときは、引き出してしまえば問題なしです。
また、IPO投資では、証券会社ごとに取り扱う企業が決まっているので要チェックです。
前述のサイバーワークスを例すると、
- 大和証券
- マネックス証券
- SBI証券
- 岡三オンライン証券
- 野村証券など
が取り扱っていたため、SMBC日興証券や松井証券などからは申し込みができないということになります。
したがって、ある程度の貯蓄がある場合は、複数の証券会社に資金を分配することをオススメします。
デメリット
なかなか当選しない
メリットだらけのIPO投資にもデメリットはあります。
その最たるものは「なかなか当選しない」ということです。
抽選なので仕方ありませんが、根気よく申し込みを続けるしかありません。
私は昨年度86社全てに申し込みをしましたが、当選をしたのは3社だけです。
ただ、初値売りでの利益が見込めない銘柄ばかりでしたので、購入手続きには至りませんでした。
抽選確率を上げるには、
- 複数の証券口座を持つ
- 資金を分散して申し込む
この2つが大変重要となります。
本命株での当選はなかなか難しいかも知れませんが、
無料の宝くじだと思って申し込みを続けていれば、いつかは結果が出るかも知れません。
抽選申し込みが面倒
複数の証券口座を持つと、その分当選確率はUPします。
ただ、その反面、申し込み作業が面倒だというデメリットもあります。
2019年は86社が上場していますので、毎週1社は申し込みが必要になる計算です。
取扱い証券会社が多ければその分、申し込み回数も増加します。
サイバーワークスを例に見てみましょう。
(*右にスクロールできます。)
企業名 |
サイバーワークス |
取扱い証券会社 |
大和証券 マネックス証券 SBI証券 岡三オンライン証券 野村證券 auカブコム証券 東海東京証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 岡三証券 いちよし証券 |
合計 |
10社 |
2019年IPOで最大の利益額を叩きだした人気銘柄です。
取扱証券会社は10社にのぼりますので、サイバーワークス1社だけで10回申し込みが可能ということです。
週によっては、2,3社が同時に上場するケースもありますので、スケジュールチェックが欠かせません。
資金移動が面倒
続いてのデメリットは資金移動です。
抽選時に購入相当額を入金しなければならないケースが多いためです。
100万円程度まとまった資金があれば、30万円ずつ3口座に振り分ける事ができますが、
30万円しかなく、入金していた証券会社と別の証券会社から申し込みたい場合は、
資金移動をしなければなりません。
銀行のように即日反映させるためには、手数料がかかることもしばしばあります。
無料でIPO投資をするのに、資金移動で手数料を支払っていては本末転倒です。
資金が少ない場合は、取扱い企業の多い証券会社をベースにすることをオススメします。
中には、抽選資金が不要の証券会社もありますので、うまく活用したいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
前回、投資を始める前に、まずは当面の生活に困ることのない資金を貯蓄しようとお伝えしました。
ただ、ある程度のまとまった貯蓄をそのまま放置しておくのは、少しもったいないです。
そこでオススメなのがIPO投資です。
抽選自体は無料で参加できますので、元本割れする可能性はありません。
お金が必要となれば数日以内に出金可能ですので、流動性も問題ありません。
見事当選して購入する場合は、当該銘柄についてよく吟味しましょう。
IPO銘柄は概ね上昇傾向にありますが、元本割れのリスクもゼロではないからです。
危ないと判断した場合は、購入辞退ができますので安心してください。
申し込み作業が煩雑だというデメリットはありますが、メリットが大きく上回っています。
ぜひ、株式投資を始める第一歩としてIPO投資を検討してみてください。
では、また!