今回は経済の基本について解説していきます。
経済といっても範囲が膨大すぎるので、
日々ニュースで見聞きするであろう景気にフォーカスしたいと思います。
景気の良し悪しは何を基準に判断しているのかご存知でしょうか。
判断基準となる内閣府や日銀から発表される各種指標について取り上げたいと思います。

早稲田大卒⇨東証1部上場企業の社畜営業マン。
会社の看板なしでも活躍できるスキルを得るため、資格取得を通じて効率的な勉強法を模索中。
座右の銘は「自反而縮雖千萬人吾往矣」
取得済資格 【行政書士、ビジ法2級、FP2級、AFP、ITパス】
GDPってなに?
景気を判断する上で、一番有名とも言えるのがGDPです。
GDPとは国内総生産のことで、内閣府が四半期ごとにGDP統計を発表しています。
国内総生産とは、日本国内で1年間に生産されたモノやサービスの付加価値のことです。
日本国内で消費されたお金の総計だと思ってもらえれば、わかりやすいでしょうか。
日本のGDPは、おおよそ500兆円程度で推移しています。
ただし、日本企業が海外で生産したモノやサービスなどは含まれませんので、
例えば、トヨタが海外工場で生産した自動車などについては計算対象外となります。
そして、このGDPがどの程度増減しているのかを%で表したものを、経済成長率と言います。
ニュースでよく見る数字が少し身近になったのではないでしょうか。
名目GDPと実質GDP
GDPには「名目GDP」と「実質GDP」の2種類が存在します。
名目GDPとは、読んで字のごとくGDPを時価で表したものを指します。
一方、実質GDPとは、名目GDPから物価水準の増減を差し引いたものを指します。
自動車メーカーを例に考えてみましょう。
例えば、1台100万円の自動車が10台売れたら、売り上げは1000万円です。
翌年、1台120万円に値上がりしたにも関わらず、20台売れたとすると売り上げは2400万円です。
この場合、2年目の名目GDPは2400万円(120万円×20台)となりますが、
実質GDPは2000万円(100万円×20台)となります。
名目GDPは金額ベースでの評価ですが、実質GDPは数量ベースでの評価となりますので、
物価上昇分(今回の例で言えば、120万円-100万円=20万円)を差し引いて計算します。
そして、もうひとつ。
経済成長の度合いを判断するために、物価水準の増減を差し引く際に用いる指標として、
GDPデフレーターというものがあります。
計算式は簡単で、GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDPで求めます。
上記の事例に当てはめてみると、
名目GDP(2400万円)÷実質GDP(2000万円)=1.2
となります。
GDPデフレーターの増加率がプラスならインフレ傾向、
マイナスならデフレ傾向にあると考えられています。
ちなみに2019年10-12月期のGDPデフレーターについては、0.6%で1次速報値と同じ伸び率でした。
景気動向指数ってなに?
景気動向指数はCI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)の2種類があり、内閣府が毎月発表しています。
景気に敏感な29種類の経済指標の動きを統合することによって、
景気の現状把握及び将来予測に役立てることを目的に作成されています。
CIは景気変動の大きさやテンポ(量感)を表すのに対して、
DIは改善した指標の割合を示すもので、景気拡張の波及度合いを表します。
従来は、DIを中心に景気動向指数を公表していましたが、
近年では、景気変動の量感や大きさを把握することの重要性が増しているため、
2008年4月以降はCIを中心に公表されています。
CI(コンポジット・インデックス
CIは景気変動の大きさやテンポを表しています。
一般的にCI一致係数が上昇しているときは景気拡張局面、
低下しているときが景気後退局面とされています。
2020年1月分の速報を見てみると、
一致指数は、前月と比較して 0.3 ポイント上昇し4 か月ぶりの上昇。
3 か月後方移動平均は0.46 ポイント下降し4 か月連続の下降。
7 か月後方移動平均は 0.66 ポイント下降し、15 か月連続の下降。
となっており、基調判断は、「悪化」を示しているということになります。
基調判断の基準は以下を参照ください。
DI(ディフュージョン・インデックス)
DIは景気拡張の動きの各経済部門への波及度合いを表しています。
CIとは異なり、景気判断はその他の経済指標や専門家の意見が参考にされます。
景気判断には、DI一致指数が利用され、50%がひとつの目安となります。
あくまで、指数が50%より上か下かを見るのであって、
景気変動の大きさを測定することはできませんので注意が必要です。
一般的には、景気拡張局面では50%を上回り、景気後退局面では50%を下回る傾向にあります。
日銀短観ってなに?
日銀短観とは、「全国企業短期観測調査」といいます。
日本銀行によって、資本金2000万円以上の約1万社を対象に四半期に一度実施されます。
全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営を目的としています。
4区分26項目について調査をしていますが、最も重要とされるのが業況判断DI(業況判断指数)です。
業況判断DIは、各判断項目につき3つの選択肢(①良い、②さほど良くない、③悪い)を用意しています。
選択肢ごとに回答社数を単純集計し、全体に対する割合を算出して計算します。
計算式は単純で、良いと回答した企業の割合-悪いと回答した企業の割合です。
例えば、以下のような場合、業況判断DIは-10%となります。
|
企業数 |
割合 |
①良い |
20 |
20% |
②さほど良くない |
50 |
50% |
③悪い |
30 |
30% |
合計 |
100 |
100% |
また、2019年12月の業況判断DI(全規模合計)を見てみると、
製造業で-4%、非製造業で11%、全産業で4%という結果になっています。
自動車や石油、金属製品などがマイナス傾向にあるのに対し、
通信や情報サービスなどがプラス傾向でした。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
小難しい経済指標をできる限り簡潔に解説しました。
これらは現在の経済状態を把握することはもちろん、
将来の景気動向について予測をすることにも役立ちます。
また、資産運用をするにあたっては、投資対象の市場がどのようなトレンドなのか、
(景気拡大中なのか陰りが見えているのかなど)を把握することが重要です。
まずは、ニュースでよく見聞きする経済指標から知識を深め、負け戦にならないよう積極的に情報収集をしてみましょう。
では、また!