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【Bookレビュー】大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる:井堀 利宏

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今回は「大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる (角川文庫)」のBookレビューです。

サラリーマンを続けていれば、一定の経済知識が身につくと思っておりましたが、それは勘違いだということが最近わかってきました。

自社製品やビジネスモデルについては相応の知識が身につきますが、活用できるのは今の会社に勤め続けている場合のみです。

一方で、経済学の知識というのは、ビジネスマンにとっては必須の教養です。

社内でも取引先でも経済ニュースについて話題にすることが多々ありますが、本書は大学4年間の内容が簡潔にまとまっていますので、経済学を勉強する入り口として最適です。

 

著者情報

井堀 利宏 (いほり・としひろ)

東京大学大学院経済学研究科元教授。政策研究大学院大学特別教授。

東京大学名誉教授。1952年岡山県生まれ。

東京大学経済学部卒業、ジョンズ・ホブキンス大学博士号取得。

東京都立大学経済学部助教授、大阪大学経済学部助教授を経て、

1993年東京大学経済学部助教授。

1994年、同大学教授。

1996年、同大学大学院経済学研究科教授。

1993年〜2015年の22年間、東大で教鞭をとる。

2015年4月より政策研究大学院大学教授。

2017年よ現職。

本の概要

本書はタイトル通り、大学4年間の経済学知識を10時間で学習できるよう設計されています。

1項目あたり30分で読めるような構成ですので、20日あれば読み切ることが可能です。

時間を短縮したい方のために、ディズニーランドで言うファストパスが用意されています。各項目に「ココだけ!」というマークがありますので、参考にしてください。

経済学は「カネ」を研究する学問ではありません。経済学は人を「幸せ」にするためにある学問です。

多くの経済学者は、単純にGDPが大きくなってみんながお金持ちになれば、それで世の中の問題が全て解決するという考え方には賛成していません。

一方で、市場メカニズムは、うまく活用しさえすれば(旧ソ連のような)計画経済よりもはるかに豊かな社会を実現できることも事実です。

「何ごとも相対的な関係性によって決まる」という経済学的思考を身につけることは、世の中の動きを正確に理解するためにとても役に立ちます。

経済学とはなにか

経済学とは、「家計、企業、政府などが物やお金を交換し合う行動を、ある仮説をもとにモデル化し、シンプルかつ理論的に説明しようとする学問」を指すようです。

経済学は大きく2つの専門分野に分かれています。

1つ1つの経済主体を個々に分析対象とする「ミクロ経済学」と国民経済全体を大きく一括りにして分析対象とする「マクロ経済学」です。

ミクロ経済学とはなにか

ミクロ経済学は、個々の経済主体の主体的な最適化行動を前提として、ある個別の市場でどんな経済活動が行われているのかを分析したり、産業間の関連を考えたりするものを指します。

個々の家計や企業などミクロの経済主体の行動分析から始めて、市場全体の需要と供給の分析に積み上げて経済を説明しようするので、家計であれば効用(満足感)を、企業であれば利潤(儲け)を最大化できるように行動するものと考えます。

家計を例に、ミクロ経済学で重要な「限界」という概念について少し解説します。

あなたは1個100円のりんごを3個所有しています。もう1個追加でりんごを買う場合の限界購入金額=限界コストはいくらになるでしょうか。限界コストとは、1個だけ余計にりんごを購入するときにかかる総コストの増加分を指し、ここではりんごの価格100円と等しくなります。つまり、価格はその財を消費する際の限界コストの指標になります。

一方、りんごを1つ買うことで得られる満足度を金銭的な大きさに置き直したものを限界メリットと言います。1個目のりんごを買うときは200だとしたら、2個目は180、3個目は150と少なくなっていきます。

このような前提で考えると最適な消費行動の決定条件とは、限界コスト=限界メリットが一致することです。上記の例では何個目のりんごでも1個100円ですので、3個目のりんごの限界メリットが150だとすると、100円で購入することはあなたが得をするということです。一方、4個目の限界メリットが50円だった場合、りんごの購入を見送るのが望ましい消費行動ということになります。

マクロ経済とはなにか

マクロ経済学は、物価・インフレ・失業・国民総生産の決定・経済成長など国民経済全体(マクロ)の経済の動きに注目します。

マクロ経済活動が行われると、生産額から中間投資額を差し引いたもの(=付加価値)が生まれ、労働や資本、土地など各生産要素の所有者に報酬(所得)として配分されます。

そんなマクロ経済活動を数字として把握する際に使用されるのが「国民経済統計(SNA)」です。

SNAとは、一国のマクロ経済の状態について、生産・消費・投資というフロー面や、資産・負債というストック面を体系的に記録する国際的な基準のことです。

このSNAをもとにGDPをはじめとする数字が算出されています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

私は毎朝、日経新聞を読んでいますが、表示された情報をインプットしているだけでは、本質的な理解にはつながらないと思っていました。

本書を通じ、経済学の思考法を身に着けることで、経済のある動きがどのような意味を持っているのか、どのような原理が働いているのかと考えを巡らせるようになりました。

経済学では「人間は合理的だと」いう前提に立っていますが、非合理な意思決定をすることについては「行動経済学」とう分野で研究が進んでいるようです。

本書の扱う範囲は経済学のごく一部分にすぎませんが、最低限の知識を広く浅く吸収するには最適です。