資産運用をしよう!と意気込むのは大変良いことです。
お金持ちになったら、〜〜しようとか〜〜買おうとか想像が膨らむのではないでしょうか。
でも、ちょっと待ってください。
資産運用の目的をはっきりさせておかないとまずいですよ!

早稲田大卒⇨東証1部上場企業の社畜営業マン。
会社の看板なしでも活躍できるスキルを得るため、資格取得を通じて効率的な勉強法を模索中。
座右の銘は「自反而縮雖千萬人吾往矣」
取得済資格 【行政書士、ビジ法2級、FP2級、AFP、ITパス】
目的を明確にすることの重要性
皆さんは資産運用の目的は明確になっていますか?
そんなのお金持ちになることだよ!
という声が聞こえて来そうですが、お金持ちとは一体どんな状態を指すのでしょうか。
- 高級外車に乗っている
- 衣類はブランド品
- 旅行の宿泊先は高級ホテル
こういったいかにもな状態を指す場合もあるでしょうし、
- 毎月5万円お小遣いが増える
- スーパーで値段を見ずに買い物できる
- 月に1回旅行ができる
日々の暮らしが少しでも良くなれば万々歳という方もいらっしゃると思います。
人によって理想とする状態は異なるのです。
資産運用のポイントは、
目的(どのような状態を目指すのか)を明確にした上で、手段(投資商品の選定など)を検討することです。
目的があやふやなまま資産運用をすると時間もお金も無駄にしてしまうかも知れませんよ。
ケース① とにかくお金を増やしたい入社1年目A君の場合
先日、社内で若手社員を対象に資産運用セミナーの講師を務めました。
内容は給与明細の見方や公的年金制度など基本的なものが中心です。
入社1年目のA君は資産運用について少しは勉強をしているようで、講義内容には物足りなさを感じているようでした。
給料だけでは今後の生活が不安なので、給料は全額投資しています。
数年後に車の購入を考えており、貯金は効率が悪いと思うのですがどうでしょう。
確かに、急激な給料の上昇は見込めませんので、投資をした方が効率的にお金を増やせるかもしれません。ただ、予めわかっている出費などがある場合(例えば、結婚式とか車の購入とか旅行とか)は、投資はせずに貯金をしておく方が良いでしょう。
日経平均はアベノミクス効果もあってか上昇を続けています。
東京五輪も控えているので、しばらくは株価上昇が見込めます。
全額投資をして売り抜ければ問題ないように感じるのですが。
確かに今は好景気と言われています。
ただ、必ずどこかのタイミングで必ず暴落は起きます。
そのタイミングは誰にもわからないので、確実に売り抜ける事は難しいと思います。
例えば、車購入の頭金で50万円が必要だとします。
貯金で50万円持っている場合、株式市場で大暴落が起きようとも50万円は50万円のままです。
一方、50万円を株式として保有していた場合はどうでしょう。
暴落率30%だとしても35万円になってしまいます。
2008年のリーマンショック時には世界の株式時価総額の60%ほどが消失したと言われています。
(ほぼあり得ないと思いますが)仮に60%暴落したら20万円になってしまいます。
株式投資には値上がりを期待することもできますが、このような下落によって元金がマイナスになるリスクも想定しておかねばなりません。
A君は現時点では含み益を抱えているようでしたが、給料の全額を投資するスタイルは危険と言わざるを得ません。
資産運用をするにはなぜその手法をとるのかをよく考える必要があります。
予めわかっている支出については貯金で準備をし、余剰資金(失っても生活が困窮しない程度の金額)で投資をするのは鉄則です。
車の購入が目的=確実にお金が必要ということですので、元本保証で流動性が高い貯金が適していると言えそうです。
ケース② 株主優待が大好きな中堅社員Bさん
Bさんは入社15年目くらいの中堅社員です。
株式投資歴は10年以上とのことである程度の知識と取引経験をお持ちのようです。
ある程度貯金があるので、余剰資金で個別株に投資しています。
選定基準は株主優待の内容で、普段よく使う飲食系や金券系を中心に購入しています。
株主の権利確定日の翌日には株価が下がる傾向があるのでそこが狙い目ですね。
逆に権利確定日が近づくと値上がりしやすいのですが、株主優待の権利を手放すと思うと売却ができません。
これらを両立する方法はありませんか。
メディアでも有名な桐谷さんが好例ですが、株主優待を狙うのは1つの投資方針になり得ます。
ただ、優待をもらうことと手元の株式価格が上昇するのではどちらが大事でしょうか。
仮に10万円で株を購入して3000円の商品券をもらえる企業があったとします。
優待利回りは3%になりますのでかなり魅力的です。
ただ、業績が不調で財務状態も良好とは言えず、株価が年間5%下落したとします。
そうすると、株式の評価額は95000円となります。
優待で3000円もらっても評価損が-2000円になってしまうリスクは理解しておかねばなりません。
なお、優待と値上がり益の両取りをするには、2単元(単元というのは購入単位。100株で1単元とする場合が多い。)以上保有することをお勧めします。
信用取引を使って優待だけGETする方法もありますが、いろいろなコストが発生する可能性もありますので要注意です。
2単元以上保有していれば、1単元は継続保有、1単元は値上がりタイミングで売却ということが可能です。
売却をしても年間を通じて値下がりしたタイミングでまた購入すればOKです。
いずれにしても優待を目的に株式を購入する場合、株価が適正かどうかを見極める必要があります。
いくら優待内容がよくても、値下がり傾向にある株は長期的に資産がマイナスになるリスクが潜んでいます。
資産運用はお金を増やすことが目的だと思いますので、ブレない投資姿勢が大切です。
まとめ
資産運用を始める前に、目的を明確にすることを強くお勧めします。
フルマラソンは42.195kmだと決まっているので、ペース配分をしながら走ることができます。
仮に「いい感じの距離を走ったところがゴールね!」と言われたら走れませんよね。
「なんとなくお金持ちになりたい」というのはゴールがわからないマラソンと同じです。
半年後に彼女と高級旅館に泊まりたいとか3年後に車を購入したいとか目的はなんでもOKです。
いつまでにどのくらいの資産を目指すのか。
ここが決まって初めて手段の検討に入ることができます。
一度資産運用の目的について再考してみてはいかがでしょうか。
では、また!