資格取得サラリーマンの気まぐれblog

会社に頼らず生きていく

〜サラリーマンこそ知識武装〜

【Bookレビュー】大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる:高橋伸夫

f:id:kig58od2:20200122092209j:plain

Amazon

今回は、「大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる (角川文庫)」のBookレビューです。

「経営学」と聞くとどのようなイメージを持ちますか?

サラリーマンをしていると、日頃の業務に追われて、経営について考える余裕がないという方も多いと思います。

経営学と言ってもその範囲は膨大ですので、勉強する時間がないけれども、最低限の基礎知識は身に付けておきたいという方におすすめです。

 

著者情報

高橋 伸夫(たかはし・のぶお)

1957年北海道生まれ。

1980年、小樽商科大学商学部を卒業。

1984年、筑波大学大学院社会工学研究科単位取得。学術博士(筑波大学)

現在、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授。

最近の研究テーマは、「日本企業の意思決定原理」「日本企業の人事・人材育成システム」「知的財産権などを軸としたライセンス・ビジネス」など。

本の概要

経営学というと範囲が膨大ですが、本書は筆者が目にしてきたもの耳にしてきたものを総動員して、とにかく幅広く、できるだけ最新のトピックスに至るまで網羅しています。

経営学で知っておくべきことが20項目に整理されており、1項目30分以内で読めますので、時間のない社会人に向いている構成です。

内容は、経営組織論、経営戦略論、技術経営論に分かれています。

経営組織論

この章では、経営管理論の始まりから意思決定のプロセスやリーダーシップ論に至るまでを解説しています。

会社といえばピラミッド型の組織をイメージするかもしれませんが、大きな組織になるには、階層構造を作らなければなりません。

  • 職務を専門家することで分業する
  • 担当者によって対応が変わらないように規則を明確化する
  • 文書によって記録する

大きな組織を効率的に動かすために、このような特徴を持つ官僚制の組織を提唱したのがマックス・ウェーバーです。

これは経営管理論の始まりとされています。

また、フランスの炭鉱・製鉄の大企業コマンボール社の経営者であるファヨールは、30年に渡って社長を務め、合併買収・事業分割・多角化を駆使して会社を立て直しました。

社長退任時の著書は、経営戦略ではなく組織管理について書かれた本で、管理的機能を含む14の管理原則が掲げられていたそうです。

管理するとは、予測する・組織する・命令する・調整する・統制することで従業員に働きかけることだと説いたそうです。

有名な「PDCAサイクル」にはファヨールの管理的職能が生きており、経営管理論の始祖と呼ばれています。

経営戦略論

この章では、事業戦略からマーケティング、国際経営に至るまで、経営戦略に関する考え方について取り上げています。

経営戦略の中でもポピュラーなのは多角化の成長戦略です。

1つの会社がいろいろな事業に進出することを指しますが、どのような多角化の仕方が効果が高いのでしょうか。

ルメルトによると、本業と関連の薄い分野に進出するよりも、本業に近い分野に進出して多角化した方が、業績がよかったということがわかったようです。

これも一種のシナジー効果ですが、それぞれの組織で蓄積された「成功の方程式(ドミナント・ロジック)」が使えるような事業分野であれば、異業種であっても成功確率は高まるからです。

では、少し視点を変えて競争戦略について考えてみます。

ポーターは、競争を勝ち抜くには、コスト・リーダシップ、差別化戦略、集中戦略を使い分けるべきだと主張しています。

中でも、コスト・リーダシップと差別化戦略はは両立できないとされていましたが、今日ではこれらは両立可能なのではないかとも言われています。

トヨタ自動車のプリウスが好例です。安くて差別化された製品を世に送り出したことで、ハイブリッド市場を席巻したのです。

技術経営論

この章では、文系の私からするとはじめましての情報が多々ありました。

製品開発や生産管理、オープンイノベーション等が取り上げられています。

JIS規格のような公的な標準化機関が定めた標準をデジュール・スタンダードといいます。

一方で、過去を振り返ってみると、家庭用VTRのVHS規格のように業界内の規格が事実上の標準となった事例もあります。

元々は、ソニーのベータマックス規格と日本ビクター(現JVCケンウッド)のVHS規格が熾烈な競争を展開していたのです。

日本ビクター(現JVCケンウッド)はVHS規格をオープンにしたことが勝因とも言えますが、IBMはオープン化に失敗したと言われています。

IBMはパソコン市場に参入する際、規格情報だけでなく、部品調達までオープンにしてしまったため、プロセッサを作るインテルやOSを作るマイクロソフトが急成長しました。

IBMは結局、レノボにPC事業を売却してパソコン市場から撤退してしまったのです。

何をどこまでオープンにするのかが大変重要ということを示す良い事例です。

まとめ

経営学と言ってもその範囲は膨大でとても勉強するには時間がたりません。

仮に、休みなどを利用して全てを勉強したとしても正直その知識は即戦力にはならないでしょう。

結局、実際のビジネスの現場で役に立たなければ意味がないのです。

ただ、経営学の基礎知識があることは、一定のアドバンテージにはなります。

専門用語が飛び交っていて何の話をしているのかわからないという事態を避けることができるからです。

基礎知識があればより専門性を高めていく過程が楽になりますので、まずは本書を手にとってみてはいかがでしょうか。